天球ディスターブ 2-8



 夜が明け、車輪が石を蹴る振動が伝わってくる。ガラスの割れた窓に背を向け、馬を操る老紳士ピーターの姿を眺めながら、は座席に身体を横たえた。本音を言えば、慣れない乗り物に大分酔っている。体全体が揺れ、吐き気が襲ってくる。だがナタナエル達が自分を逃がすためにここまでやってくれているのだと思えばこんな酔いなど何でもない――そう思いたいのだが、体は正直だ。自己嫌悪でますます気持ち悪くなる。

様、大丈夫でございますか?」

 ピーターが心配そうに訊ねてくる。大丈夫だと細い声で答えれば「そろそろ休憩いたしましょうか」と提案され、は慌てて断った。今は一刻も早くイクセ村に行くというナタナエルの望みを叶えたかった。

「そうおっしゃいましても、顔色がお悪い……っ!」
「どうかしましたか?」

 突然ピーターが息を呑んだことに何事かと思いながら問いかける。と同時に横からの凄まじい衝撃が馬車を襲い、車体が大きく揺れた。そのままゆっくりと倒れていく。

「っ!」

 一瞬の浮遊感の後強かに背中を打ちつけ、は小さく悲鳴を上げた。痛みに背を丸めて縮こまる。
 ――何が起こった。
 呼吸を整え、完全に倒れた馬車の前面から這い出ようと腕に力をこめて進む。起き上がるには痛みが酷すぎた。息が上手く吸えない。ピーターの姿を探すも内部からは見つけられず、妙な危機感だけが募っていく。
 とにかく状況を確認しなければと、わずかに空いている隙間から身を捩じらせて外を見た。

「ピーターさん、さっきのは……!?」

 そこには馬車を囲む数人の屈強な男達と、倒れた馬を支えに対峙するピーターの姿があった。穏やかでないとすぐに分かるその光景は確かな恐怖となっての身に降りかかってきた。
 盗賊という単語が頭を過ぎる。だとすると最悪以外の何者でもなかった。ピーターは分からないが、少なくとも今のに戦う術はない。絶望的なまでに弱者でしかないのである。

「――何がお望みですか」

 ピーターが静かに尋ねた。すると彼らは下卑た笑い声で返答を返す。

「お前らの持っているもの全てだ」

 そう言うと各々の武器を片手に馬車ににじり寄ってきた。知らず呼吸が荒くなる。後姿でもピーターが強張っているのが分かる。何かしなければ、何か、何か!そう思うのに己は小刀の一つすら持っていない。情けなくて仕方がない。しかし、力ではおそらく敵わないとも考える。では論破できるだろうか――無理だろう。それは盗賊の更生を意味する。一朝一夕にできることではない。
 ――ただ。

(せめて時間稼ぎか、ピーターさんを逃がすことだけ)

 それならば、できるだろうか。
 ぐっ、と腕に力をこめると馬車に寄りかかって起き上がり、馬車に積んであった上質のマントを羽織る。表情を引き締め、背筋を伸ばす。そして馬車から出ると、男たちの中でもリーダー格と思われる男を――勘に頼るしかないが、一番身なりの良い人物を――睨み付けた。

「おやめください。私たちは旅の途中です。あなた方の望むものは持っていません」
「はっ、ようやくお嬢様のお出ましかよ。ふざけんな、俺の目は節穴じゃあねえ。その馬車――うまく隠しちゃいるが、材質も様式も一級品だ。それにお前の着ているマント。それ売った金でどれだけ遊べると思ってる」

 は胸中でほんの少し安堵する。これで彼らの目をピーターからに向けることができただろう。後は彼が逃げてくれればいいのだが、おそらく彼の性格上、それは望めない。

「ではこのマントは差し上げます。その代わり、どうかこれ以上は」
「はあ?何言ってんだお前。俺は『全て』って言ったんだぜ?」
「……」

 それはとピーターも含めてということだろうか。一瞬「人身売買」という言葉が脳裏をよぎり、は青褪めた。次いで手が震え、膝が笑う。マントのおかげで向こうに悟られていないらしいことだけが救いだ。
 だが、男の行動を見て表情が更に強張る。抜き身の剣を2,3度振り回し、手近な草花で切れ味を試す。男たちに「売る」という甘い考えがないことはすぐに分かった。殺すか、良くて気が済むまで痛めつけられるのだろう。呼吸が止まる。
 この感覚には覚えがあった。いや、思い出したと言ったほうが正しい。
 1度目にこの世界に来た日に戦場で殺されかけた経験である。正確に言えば、目の前で人を殺された時の感覚だ。次が自分の番なのだという恐怖と絶望。
 震える腕でマントを強く握りしめた。
 怖い。けれど、とにかくピーターを逃がさなければならない。もはやの頭にはそれだけしかなかった。
 主人の危機よりも見ず知らずの己を逃がすことを優先してくれた、優しい人だ。失ってはいけない。

「私は…………でも、彼は」
「老いぼれはいらねえよ、ここで始末する。お前の利用法はゆっくり考えるさ」

 万事休すか。必死に考えるが囲まれているこの状況を打破する策が思い浮かばない。歯がうまく噛み合わず、震えに微かな音を鳴らす。

「おい、先にそいつ片付けとけよ」

 は目を見開いた。男たちの中の一人が、湾曲した剣をピーターの上に振りかざす。

「だめ!!!」

 叫び、ピーターの元へ行こうとするが、両手を掴まれて前のめりになる。痛いほどの力で握られ、表情が苦痛に歪む。それでも視線はピーターから離れない。

「やめて、お願いします、やめてください!!!」

 先ほどまでとは違う感情がのしかかる。視界が、この先に待ち構える恐怖に歪んでいく。
 リーダー格の男がの様子に気付き、薄く笑うと剣を持った男に目配せした。剣の男は頷き、ピーターの左腕を剣で掠める。ピーターは痛みに悲鳴を上げ、やがて裂けた服の間からは血が流れ出した。
 腕を振りほどこうと足掻く。しかしいくら暴れても、余計二の腕を掴む手が食い込んでいくだけだった。

「離して!」

 どれだけ心の底から叫んでも、届かない。
 暴れている間に、ピーターは傷つけられていく。
 何もできない。何の役にも立たない。――何の力も、持たない。

「やめて……!」

 何故、力がないのだろう。何故この手に天球の紋章がないのだろう。
 どうして自分は、こんなにも無力なのか。

 全身から力が抜けていくのを感じながら必死に抗う。ここで地に膝をつくことは絶望と同義なのだと、本能で感じ取っていた。
 腕を掴む男が舌打ちする。刃の擦れる音が耳に入った。は予感に目を見開き、次いで唇を噛んだ。

「――!!!」

 は叫んだが、それが恐怖感によるものなのか、それとも別の何かに起因するものであるのか、どうしても分からなかった。そしてできれば、分かりたくなかった。



 その時、叱責の声が場違いなほど甲高く響いた。

「リード、サムス!何やってるのよ、早く助けに行くの!!」
「!?」

 盗賊たちは一瞬動きを止め、一斉に声の発せられた方を向いた。その隙を逃すまいとは緩んだ腕を振り切ってピーターのもとへ転げるように駆け寄り、その背を庇うように抱いた。背中の痛みに表情が歪む。
 それに気付いた男が舌打ちをしてを見る。その目を睨み返すものの、抵抗する力はもはや無い。だから、男が剣をかざしたときには一瞬だけ、――本当に一瞬だけ、世界から全ての音が消えた。
 自分が何を考えているのか分からない。
 目の前の男の顔も分からない。
 刃の軌道上にある体が――切られるであろう部分が、やがて来る痛みに疼いている。
 ただ、目だけが、閉じることもできず見開かれていた。

 ――キィン、と。

 刃同士のぶつかり合う音が聞こえた。来るはずの痛みは待てども訪れず、代わりに影が覆いかぶさった。
 驚いて視線を上に向ければ、見知らぬ男性が盗賊の凶刃を食い止めている光景が目に入った。周囲の木々の間から差し込んだ陽光が逆光になって、男性の背を暗くしている。その大きな背中には目を開いて――安堵なのか、自分にもよく分からない感情から、顔を顰めた。

「ここは俺が食い止めます!貴女は絶対にそこから動かないでくださいね!」
「……!」

 光が男性の金色の髪に反射しての目を刺す。その刺激にハッとしたはすぐに頷き、周囲を見知らぬ人間が――各々が盗賊と相対している様子を見るに、男性の仲間だと思われるが――とピーターを守るように囲んでいるのを見届けると、ピーターから体を離し、傷口を検分し始めた。といっても所詮は医療知識を持たない身である。左腕の傷から流れ出る血が止まっていないことに目を開き、思わず手で傷口を塞いだ。

(何か、包帯の代わりになるもの…。……っ!)

 手が血で染まっていく。それを見たの体が少しずつ震えていく。温かなものが手に触れ流れていく感触に自制の効かない涙が溢れていく。――呼吸困難を起こしかけていた。

「!?」

 これは、なんだ。
 何故、涙を止めることができない。
 呼吸が抑制されていく。空気を吸い込めない。赤い――目の前が、赤い。



「ちょっと!?何やってんのよ、その人怪我してるじゃない!早く手当てしなさいよ!!」
「………あ……」

 先ほどの甲高い声の持ち主が叱責の声を飛ばす。その瞬間の視界に、地に伏し痛みに顔を顰めるピーターの姿が戻ってきた。同時に呼吸も出来るようになり、荒い呼吸を繰り返した。

「……んもう!ちょっと退きなさい!」

 を押しのけ、女性――少女との中間にいるような――はピーターの傍らに座り、腰に下げた皮製のポシェットから包帯を取り出すとクルクルと細くねじって傷口より心臓に近い部分をきつく巻いた。止血をしているのだとは瞬時に判断して――ひどく、情けなくなった。
 いったい自分は何をしているというのだろう。側にいながら手当てすらろくにできないでいる。

「サムスもリードも!ちんたらしてないでさっさとそいつら倒しちゃいなさい!」
「お嬢さん、そんなこと言ったって、こいつら結構手強いんですよ!?」
「あんたたちなら大丈夫でしょ!」
「……またそんな根拠のないことを……」

 女性が、先ほど助けてくれた男性に向かって言う。答えたのはその男性ともう一人で、そこでは初めて彼らのことをよく見た。
 一人は白い肌に金色の髪を大きく前方に纏めている。一人は褐色と言うにはやや黒味の強い肌で、髪は短く切ってある。そしてどちらの服装にも、はデジャヴを感じた。まるで、西部開拓時代の――

「あなた方……は」
「ん?」

 振り向いた女性の姿を、は思わず凝視した。茶色の髪は腰まで届くほど、服装は身のこなしを重視したのか軽装で、裾の短いワンピースのようだ。やや釣り上がった目からは意思の強さが感じられる。おそらく平時ならばその大きな目は愛らしく映るのだろう。
 この世界で幾度となく味わってきた感情が去来する――見覚えがある。
 そして、目の前の女性は。記憶が確かなら「以前」も「見た」――

「……ああもう、あいつらったら役に立たないんだからっ」
「え?」

 女性は眉を顰めて手に持った、とても細身の剣を構えると素早く立ち上がり、の横をすり抜けると刀身を振りかぶった。振り向いたは咄嗟に、来るだろう血飛沫に身構える。しかし、一向にそれは訪れず、ただ襲ってきたらしい男だけが地面に倒れた。

「……?」

 不思議に思い女性を見上げると、先ほどと変わらず眉間にしわを寄せたまま、剣を左手に持ち右の手首から先だけを軽く振っていた。

「余計な力が入るから苦手なのよねえ、峰打ちって。ああ、手が痛い」

 おそらく剣を持ち替えて、何らかの方法で――素手で殴ったとは思えないのだが――男を地に沈めたらしい。状況の予測がつかず目を白黒させているを見下ろした女性は一つ息をついて膝を折り、目線を合わせ、自信に溢れた笑みを浮かべた。

「もう大丈夫よ。なんてったって、このあたしが助けたんだもの!」

 何の根拠も確証もない言葉だったが、十分だった。女性の笑顔には思わず縋り付きそうになったが寸でのところで堪えると、ピーターの回復手段を求め問いかけようとした。それを女性の明るい声が遮る。

「もうすぐ終わりそうね。そっちのお爺さんの血も止まったみたいだし、良かったわ」

 は俯き、ピーターの手を取った。痛みに耐えていたピーターはその手を握り返し、力なく笑んだ。



 それから間もなく、襲ってきた盗賊は全て倒され縛られる結果となった。盗賊は女性――リリィと名乗った――と同行していた商人らの数人がこの後分かれて別の街へ行くというので引渡しを頼むことになり、はリリィと二人の護衛、そして幾人かの、彼女と行き先を共にする商人・傭兵の勧めもあって、彼女らの馬車でイクセへと向かうこととなった。ピーターが怪我をしている以上、は是も非もなくその申し出を受けた。

「あの……」

 貿易用なのだろう、荷が山と積まれた荷車の中で、は恐る恐るリリィに声をかけた。護衛の二人――確かリードとサムスといったか――は手綱を引いており、他の商人は馬車に乗っている。荷車は馬車の後方に連結された形となっており、この団体の中でリリィらの方が「同行者」であるのだと推測できた。

「ん?どうしたの?」
「その、お礼が言いたくて。情けない話ですが、私はこの辺りの地理も森の歩き方も知らないので……本当に助かりました。ありがとうございます」
「やあねぇ。目の前で襲われてるのも困ってるのも、見て見ぬ振りは出来ないでしょ。こっちには傭兵もいるんだし、助けられるものは助けなきゃ寝覚めが悪いわ」

 は安堵した。リリィが悪人でないことを――理由や真実はどうあれ、今後『悪』とされるものと対峙する程度に正義感を持っていることを――知っているということもあったが、それ以上に、今の言葉に感謝した。
 この世界で持っていた唯一の「力」を失くした身である。頼れるだけの知識も技量もなく、襲われた状況を切り抜けられる確立はほとんどなかったのだ。

「でも、本当にいいんですか?イクセ村はリリィさんたちの目的地では……」
「いいのよ、あたし達はとにかくグラスランドに入ることが目的なんだから。ある意味イクセも目的地よ」

 故郷の商隊がグラスランドで行方不明になっちゃっててね、とリリィは腕を組み、憤懣やるかたないといった表情を見せる。

「あなたも何か知ってたら…って、知るわけないか。ハルモニアから来たんだものね」
「…すみません」
「ま、いいわ。その代わり、何か分かったら教えてね。ああ、じゃあそれが助けたお礼ってことでいいわよ。
えっと、あたしの国はティント共和国で、うちの商隊を襲ったのは『炎の運び手』って盗賊らしいわ。お願いね」
「はい、その時はすぐにでも」

 未だ顔色の悪い、貧血のため今は眠っているピーターの顔色を確かめながら、はリリィに返事をした。リリィが年上ということもあり中々話しかけることの出来ないを思ってなのか、はたまた本来の性格がそうさせるのか、車内でリリィは饒舌であった。

 曰く、自分はティント共和国大統領の一人娘であるということ。
 曰く、現在は行方不明となった自国の商隊の行方を探るべく、忍びの旅の途中であるということ。
 曰く、ここまではデュナン国からハイランド県を通り、いったんハルモニアで情報収集をした際に「炎の運び手」という商隊を襲ったと思われる盗賊がグラスランドの組織であることを突き止め、行方を追うべく北上してきたのだということ。

「でも大統領のご息女がそんな危険な旅に出るとなると、よほどの反対があったのではないですか」
「そりゃあね。特にリードとサムスが酷かったわ。パパは賛成してくれたんだけど」
「大統領が?」
「ええ。あたしなら盗賊を捕まえるくらいできるって信用してくれたのよ」
「そうでしたか」
「なんてね」

 それまで自信たっぷりに話していたリリィの表情が翳ったことには首を傾げた。リリィは一つため息を吐いて、側に置いていたサーベルを持ち上げる。あまり殺傷能力が高いとはいえない剣だ。

「パパがあたしにそこまで期待してないことは知ってるの。パパはあたしに甘いもの、きっとこの旅もお忍びの『旅行』って考えてるんだわ」
「……」
「だからあたしは絶対に運び手を捕まえるの。それで、あたしの凄さを証明するのよ!だって――」

 リリィは自信に満ち満ちた表情で宣言する。

「だって、あたしはティント共和国大統領の一人娘、リリィ・ペンドラゴンなんだもの!」

 それがどれほどの重さを伴った言葉であるのか知ることのできないは、ただ、笑んで頷いた。



 馬車は既にグラスランドに入り、出来るだけ近隣の村に立ち寄って宿を取れるように速度を調整しながら進んでいるようであった。商いのための荷物が多く、先ほど幾人かと別れ戦力が落ちている今、襲われる危険の高い野宿は最も避けるべき事項なのである。
 グラスランドには主要6クラン、すなわちカラヤ、リザード、ダック、チシャ、セフィ、そしてアルマ・キナンという大きな部族が存在しており、の記憶ではゲームの進行上、流れの上に出てきたのはこれらのうちセフィクランを除く5つだった。しかし実際は6大部族以外にもクランは存在していて、各々が集落を作って暮らしている。もっとも6クランの流れを汲む集落の数が圧倒的に多いため割合的にはグラスランドに存在する8割の人々が大クランに関係していると言っていいのだが――とに教えたのは、護衛のサムスという人物である。色の黒いこの男性は元々南方の出身で、地理や風土に興味を持ち探求していくうちにティントに流れ着いたのだという。そのせいか、彼はグラスランドの事情にも明るかった。

 ゲームに描かれている部分しか知らないにとって、これは驚くべき事実であった。無意識の内に、ゲーム以外のクランなど存在しないと――描かれていることが全てなのだと思っていたのかもしれない、と自己の思考を分析していく。そして、この世界に立ち、呼吸をしている身としてあまり良くない傾向だと判断を下した。

「考え方って中々変えられないのかな」
――随分前にも同じことを思っていた気がするのに。

 宿の一室、女性たちに宛がわれた部屋で、はソファに寝転がって天井を見上げた。窓を見れば漆黒の中に星が散らばり、光を放っている。微かに聞こえてくる寝息に、同室の人々は既に寝入っているのだと知った。途中から同行し、何かしら旅の役に立っているわけでもないは宿泊の際にはベッドを固辞して床かソファで眠ることにしている。
 それくらいしか出来なかった。
 馬を操ることも、地図を読むことも、交渉だって商人にはかなわない。リリィ達のように、時折襲ってくるモンスターを退けることもできない。――ひたすらに安全な荷車の中で揺られるだけの旅路。

 不意に窓の隙間から冷たい風が吹き込めて体が震えた。薄い毛布で体を包み、胎児のように膝を抱く。


「……どうしてここにいるんだろう」


 呟きを聞く人間も、応える相手もいない部屋で、の声は悲しいくらいによく響いた。








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2009.2.11
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